中国向け鉄スクラップHSとH2のスプレッド拡大も気になるけど、もっと先のことを考えてみた

久しぶりに、新しい「みちるリソース(今井満資源開発)」のロゴを追加しました。特に、図柄に意味はないのですが、「銅相場関連はコレ」だとか、「CE(サーキュラー・エコノミー)関連はコレ」とあらかじめ決めておいたモノの中から、その日の気分で選んでいます。今回の新ロゴは、鉄鋼関連のネタを掘るときに使ってみたいと思います。

韓国を潰しにかかる中国鉄鋼メーカー

非鉄ばっかりやっていると、鉄鋼関連のニュースに疎くなります。ここのところ、非鉄ベースメタル相場の急騰だけでなく、業界人の間では、鉄スクラップの「アゲ相場」の話題が盛んに行われていました。すると、今まで「相場のことなんかわかんねえ」などと弱気だった方々が、「今後、中国が鉄スクラップを買っていく。だから、相場は底堅いはずだ!」などと自信あり気な雰囲気です。

argusmedia.comに、興味深い記事を見つけましたので、概要をかいつまんで共有させていただきます。

参照: "South Korean steelmakers sell scrap to China"

  • 韓国から中国への鉄スクラップの輸出販売が行われ、韓国の製鉄所の間では、韓国の国内市場で生産された高品位スクラップを中国のバイヤーとすぐに競争しなければならないという懸念が生じている
  • 韓国からの3,000tのHSグレードのスクラップカーゴが先週、495-498ドル/t cfr中国で販売されたと聞いている。これは試験的な貨物である可能性が高いが
  • 中国の工場は韓国からスクラップを調達することができるが、中国は鉄スクラップの輸出に 40%の関税をかけているため、逆に販売することはできない
  • 中国がHSを購入することで、H2グレードとの価格差が拡大する可能性が高い
  • 現在の韓国の HS-H2 のスプレッドは、先週の H2 が日本で 42,500 円/t で取引されたことから、4,000 円(37 ドル)前後と推定される
  • 中国のバイヤーが購入している HS-H2 のスプレッドが、韓国の工場が日本の HS スクラップに対して提示している価格を少なくとも 4,000 円上回っていることを意味する

ここで筆者が関心を寄せたのは、「韓国の苦境」ではありません。散々、非鉄関連のネタでも言及していることですが、「“ウワモノ”とそれ以外の値差(価格差)が広がっているよね」という点です。未来永劫、このような状況が続くのかと言えば、そうは問屋が卸さないわけでして。

大陸の“爆買い競争”で疲弊するのは、大陸人

足元の状況を一言で表すのであれば、「中国が、商品性と流通性が担保できるモノ(=素人が見ても、なんとなく“それ”だとわかるモノ)を“爆買い”するための品定め期間」であります。世界各地から商品を取り寄せ、「どこそこのそれは良いが、どこそこのそれは悪い」といった“品評”から始まり、「ここのそれは少し悪いんだけど、どこそこに旨味があるから、どこそこを抑えれれば、まあ、普通に流通させてみよう」といった“忖度”もあるのでしょう。

あとは、もう、息のかかった中国国内の目利きバイヤーに指示を出して、ある程度の量を確保させ、あとは「華麗なる成功者」を演出するだけです。時を経るにつれ、世界中で「私も成功にあやかりたい」と、同じようなことを始める方々が現れ、ある程度は成功するのでしょう。また、場合によっては、“見せしめ”が行われるでしょうから、ある程度の“犠牲者”も生まれます。

日本国内においては、市場におけるプレイヤーが相当に増えた時点で、価格競争もさらに激化するでしょうから、相場の上げ下げ、資金繰りでも“犠牲者”が出てきますね。今度は、ウワモノを右から左に扱うだけでなく、「ウワモノをつくる」ことに腐心する方々も増えるでしょうから、“スソモノ”の値段も上がってゆくことでしょう。機械設備の価格高騰も見受けられるようになるでしょう。欧州の機械メーカーが、攻勢をかけるでしょう。もしかしたら、この時点で、ある程度の機械設備を持っていない業者は、既に淘汰されているのかもしれません。

最終的には、「ウワモノの持つ相対プレミアム感」は解消されるでしょう。むしろ、「金属スクラップの総体的な価値が上がっている」かもしれません。近い将来、都市鉱山の持つポテンシャルがいかんなく発揮されるようになるからです。土をほじくり回して、どうにかこうにか金属を採集する未来は、持続しないのです。資源は、身の回りに転がっているし、「寿命を終えた製品の中から、各種資源を回収すること」が当たり前になるのです。

ウワモノづくりに腐心した方が、持続可能性あるよね

見事に脱線しましたが、筆者がお伝えしたい持論は、ただひとつ。スクラップの相場って、「“金属市況とは別の思惑”の下で、誰が決めたかわからない“指標(イメージ)”によって、だいたいが決まっている」ということです。だからこそ、相場の上げ下げ、“プレミアム感”で一喜一憂するよりも、実際に「プレミアムをつくる」べきだと思うし、“スソモノ”を有効に活用する術を身に着けるべきだと考えています。このノウハウが、永続的な利益の源泉となります。

ここからは、当方の宣伝となりますが、みちるリソース(今井満資源開発)は、資源開発ディベロッパーとして、身近な潜在資源を金属原料に仕上げることに邁進してゆきます。資源循環を実現する上での“答え”を導き出すことは容易ではないですが、時代に即した“最適解”を提案できるよう、尽力します。金属スクラップの加工・選別・製品化までのプラントの提案も可能です。ご意見、ご質問等は、HOMEページに設けました、お問い合わせフォームよりお願いいたします。

リンク:みちるリソース(今井満資源開発)お問い合わせフォーム

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