うちの会社は、お前んとこの倉庫じゃないぞ
ネタが無いです。Twitterで買取金額を流し始めてみたけど、続きません。そんなことを、よく耳にします。非鉄金属スクラップの問屋さんの社長さんのハナシです。じゃあ、やめてしまえばいいのに。そう思う、今日この頃。
個人的に、大阪のトーナイさんのブログは、毎朝必ずチェックさせていただいています。もちろん、先方の買取単価も気になりますが、それ以上に、あの古代史から始まる"濃密な"ハナシのファンです。あまり回りくどく言っても、長ったらしくなるので、端的にトーナイさんのブログの魅力を申し上げると、「オンライン・メディアを通して、社長の顔、会社の色がみえる」ことにあります。
また、連日欠かさずに情報を発信されているところに、"強い信念"を感じるし、"安心感"を得ます。「ああ、この会社なら、長いスパンでお付き合いできるな」だとか、「これだけの見識があるのであれば、すべて任せておけばいいな」だとか。要は、「頼りがいがある」ということです。
個人的な見解ですが、Twitterでもブログでもなんでもいいんですが、どんな小綺麗な体裁で取り繕っても、内容がなければ、訴求力は無いし、継続して発信していかなければ、"与信の蓄積"は得られないわけです。
当ブログに関しては、さすがに毎日の更新はできていませんが、極力、節目節目で、フレッシュな情報、なおかつ個人の"色"が出るように、なるべく「夏休みの感想文」にならないように、細心の注意を払いながら、ちまちまと発信させていただいております。
ここから、一気にニッチな業界ネタについて。
昨今、銅系の板条(ばんじょう)メーカーの原料需要が、激減しているというハナシをよく耳にします。当然ですよね。先行き不安の真っ只中にあって、積極的な材料発注、前広に仕掛かりを抱える勇気のある製品メーカーは、皆無に等しいと思います。しかしながら、車輌系、特に弱電系ともに、需要は底堅いようです。巣ごもり需要、給付金で刺激された"手堅い消費"の恩恵を受け、カネを使える人は、今のうちに使いたいと感じている。あと、今月末に終了する、電子決済に対する補助政策の駆け込み需要という要素もあります。
なにがスマートなんだか
もう少し先の需要に関して言及すると、5G絡みで積極的に推進されている、"スマート家電"ですよね。なにがスマートなのか、さっぱり理解できませんが、要は「人間の行動を監視するために、電気が通っている機器すべてをネットワークで繋いでしまいましょう」という思想です。すると、どんなに小型化されようとも、いずれにせよ通信基板が搭載されますね。
基板の実装需要が高まると言うことは、東京エレクトロンのような実装機械設備の需要が高まるということでしょう。また、我々の原料業界が注目すべきは、銅箔需要の伸びですよね。つまり、国内外の日系銅箔メーカーが、いわゆる特号銅線(ピカ線)なり1号銅ナゲットを、どの程度の量を、どの程度の値段で買ってくれるのか、ということです。
蛇足になりますが、海外では、前者をISRI規格上の"Barley"などと呼ぶこともあります。実際には、日本の銅箔メーカーが求める品質水準は、さらにその上にあります。一部の事情通の中では、"Shiney Mill Berry"などと呼ばれたりします。いずれにせよ、国内銅箔メーカーに"特号"を供給するには、特定の直納問屋さんを通して、特定の品質要求事項に沿った荷姿にしないといけません。(周知の事実でありますが、海外の読者様のために、明記しています。)
遠いようで、意外と身近なハナシ
市中一般の業者さんには、直接的に関係のないことかもしれませんが、おそらく間接的に非常な重要なファクターだったりします。いわゆる相場の採り方は、その地域や環境によって、様々だと思いますが、仮に「特号の値段をもとに、それ以下の品目の値段を決めますよ」といったやり方で値決めをしている業者さん方において、銅系スクラップ取扱品目全体への波及が考えられるからです。
結論、ここまでの足元、中長期的な展望がみえていながらも、「銅箔向けの原料需要が強い」というハナシは聞こえてきません。考えられる要素としては、「特定の問屋からの購買量を増やす」ないし、「需要はあるんだけど、手元に置いておきたくないから、適正在庫の水準を下げている」こともあるでしょうし、はたまた「本当に、必要ない」という可能性も否定できません。こればっかりは、メーカーの原料購買担当も、正直なところ把握できていないかもしれません。ただ、「上司に言われた通りにするだけ」の場合が多々ありますもんね。そして、唐突に「今月は、少し多めに買ってやる」から、「ごめんなさい。今月足りないんで、集めてください」という事態に陥る。
モノづくりは、大変なんよ
なんで、こんなことが起きるかといえば、ライフサイクルの長い、パーツの多い製品(車輌等)が抱える問題として、「同一のプロジェクトに携わる人間の数が多くなる」という事実があります。要は、みんながみんな、おっかなびっくりで、"バッファー強めの控えめな需給予測"を組むので、実際の"緊迫度"とか、"必要性"がぼやけるんですよね。
そして、現在の大きな問題。みんながみんな、二の足を踏んでいる根本の理由は、ファーウェイを筆頭にした、中国共産党関連の通信機器メーカーならびに通信会社に対する、米国主導の制裁です。この潮目の変化の中で、ソフトバンク社長が投資先の中国企業の役員を辞めたり、NTTがNECに対する投資表明をしているのだと理解しています。要は、特定の需要家向けの製品に関して、供給できなくなる可能性があるということです。
特に、中華圏で工場を持って、実際のモノづくりを現地で行っている銅箔メーカーは、文字通り戦々恐々としていることと思います。今まで通り、製品供給を続けていたら、敵国に加担する企業の烙印を押されかねない。おそらく、「銅箔なんて、トイレットペーパーみたいなもんだろ。作り置きして、ダメだったら、他のトコロに買ってもらえばいいじゃないか」といった考えを持つ方もおられるかと思いますが、実際には製品仕様や、特に表面処理だと思いますが、色んな理由で完成品を他社向けに転用するのは、現実的でないようです。
毎度のごとく、論点がブレにブレますが、結論としては、「うちの会社(問屋)は、お前んとこ(メーカー)の倉庫じゃないぞ」ということです。相場のボラティリティ高く、需給の変動も激しい状況が、しばらく続くものと考えています。
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