なんだかんだ言っても、結局は中国頼りでしょう
厚生労働省発表の「新しい生活様式」と睨めっこしています。まず、幾ばくかの"違和感"を感じざるを得ません。なぜでしょうか。その"新しさ"に対する拒否反応でしょうか。
移動に関する言及事項として、「出張はやむを得ない場合に」とあります。毎日が出張のような生活を送ってきた人間にとって、これは死活問題です。さらに、ここにきて、国内でのパスポート制導入なる提案もなされるようになってきました。度々言及させていただいておりますが、「越境するコストが上がる」ということだと思います。こう表現していいものかわかりませんが、「リージョナリズムが加速する」ということかもしれません。
新しいものもいいが、古いものを整理してから
少し下に目をやると、「働き方の新しいスタイル」という項目もあります。(言語学者ではないので、細かい表現には目を瞑りますが、)まず "New Working Style" という言葉ありきですよね。そして、恐らく本意は「新しい労働様式」でしょうか。コトバでも言霊でもいいですが、"そこ"ばかり注視してしまうと、本来なすべきことの本質がみえなくなります。
個人的には、本当に変えなくちゃいけないのは、そんな薄っぺらいふわふわした"スタイル"ではなく、もっと奥深くにある根っこ、根源的な商慣習上の不必要なモノの撤廃だったり、改変、見直しというものがあってこその"改革"であると思うのですが、独りよがりにもほどがありますでしょうか。もう少し、レガシー的なモノに敬意を表し、忖度した方がよろしいでしょうか。
まあ、政治的なことは、正直、どうでもいいっちゃあ、どうでもいいので、もう少し、商売に関するハナシをしましょう。
ワタシは嫌いなんだけど、あの人が好きって言うから…
専門家は、「未曾有の不況に陥る」ということを繰り返し述べます。つまり、これからだ、ということです。また、地政学上の問題として、「本当に"中国パージ"できるのか」という点について、あまり十分に語られていないように感じています。米国なんかは、当然のごとく、「中国のせいだ!」とお祭り騒ぎですが、結局は選挙対策です。欧州の主要国家も、「中国嫌い!」なんて言って、あたかも「地球はひとつ」で同じ意見であるかのように言いますが、彼らが中国を感情で嫌ってきたのは、いつの時代からでしょうか。
今後の欧州の経済状況如何によって変わってくるんでしょうが、結局は、これまで同様、「嫌いだけど、一緒にいると、なんか落ち着く」から一緒にいるに決まっています。半ば、「DVパートナーから逃れられない人」みたいな感じです。要は、依存関係にあるということですよね。それが、政治の真髄というか、良くも悪くも"癒着"なんでしょうが、綺麗事並べて解決するのが政治経済ではないですよね。少なくとも、新興国や中進国は、中国になびいて、国家運営の下支えをしてもらわないと、存続の危機に陥ります。
やり方を大きく変えるチャンス
翻って、ベースメタルスクラップの貿易、欧州発中国行きの流入は、明らかに増えるものと考えています。中期的には、NEV需要然り、大型商用車の需要は底堅いでしょうから、自動車産業全体からの需要それ自体が、"新しい生活様式"以前に比べ、そこまで大幅に減ることはないと思います。ただ、生産される車両に投入されるベースメタル毎の使用比率のようなものは、大幅に刷新されるでしょうし、必要とされる素材(スクラップ原料)も当然の帰結として変わります。今は、産業の転換期にあり、業界自体が、なにか"ショック療法"じみたことを希求しているのです。
その"ショック"が、どんな影響を与えるのかという点について検討してみたいと思います。大雑把な表現で恐縮ですが、車両ひとつを大きな木に例えると、これまで枝葉の部分に銅がふんだんに使われていましたね。これからは、それがアルミに置き換わります。そして、幹をもっと太くして、銅の使用量自体を何倍にしましょう、といったハナシになります。もう少し、掘り下げれば、内燃機関向けに使われていたアルミ鋳物が減る代わりに、今度は大容量バッテリーのフレーム用途で押出材が使われますよ、というハナシになったりもします。
スクラップの旨味って、いかようにも解釈できること
いわゆる"白系"ミックスメタルは、欧州・米国ともに、日本より一足先に価格崩壊が起きました。それでも、中国に仕向けている。なぜか。簡単に言ってしまえば、中国以外に買い手がいないからです。言い換えると、中国仕様なり"その程度"の商品なわけです。インドも買うだろうと言いますが、それもそうかもしれません。ただ、結局は、彼らも中国と同じようなモノづくりをしていて、同じような原料を"使いこなす"ことができる。そこに、「中国だからとか、インドだからという優位性」はないように考えています。実際の末端での詳しい事情はわからないですが、恐らく、まだ儲かっているんですよね。発生国も中国も。
前者としては、大手の寡占が進み、機械化は当然ですが、選別の自動化が進み、中国が望むレベルのモノは、"フツー"に大量生産できる。何遍も同じことを言いますが、真の意味でのリサイクラーは、「売値が安かろうが高かろうが、そんなことには興味がない」はずなんです。彼らは「回すことに意味がある」と考える。たまたま、相場が高いときに売れれば、「ああ、ラッキー」ぐらいにしか捉えていないと思います。要は、「スクラップが回っている限り、儲けが確実に積み上がる」のです。
後者にしても、同様に巨大資本が美味しいところを独占してしまっていて、最先端の選別技術で汎用品を大量に生産できる。先進国が疲弊すればするほど、仕入れに係るコストが減る。高品位の原料が必要になれば、アジア圏内でそこそこの値段を出せば、少量多品種で購買できてしまうのです。本来であれば、製品の需要がないのにつくっても意味がないのですが、そういった"フツー"の論理は、彼らに通用しません。
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