24時間、頑張れますか。欲しがりません、勝つまでは
「満身創痍(まんしんそうい)」という言葉があります。今、まさに我々が置かれている状況・状態を指すのではないでしょうか。あまり、感傷的かつマゾヒスティックな思考は、良くないなと思う一方、客観的に"自分の姿"を直視できない、しようとしない状態も、決して良いものではないと考えます。
参照:ウェブリオ辞書『満身創痍』
「満身創痍(まんしんそうい)」とは、「全身傷だらけの状態」あるいは「心身ともにボロボロの状態」という意味で用いられる表現である。
なにをもって、「傷だらけのボロボロ」かと申しますと、結局のところ、為政者はもったいぶって言いませんが、「今後、何をやってもダメなもんはダメ」なわけです。いわゆる、「焼け石に水」の状態です。
どれだけ、政治家の皆様が汗水垂らして、我々国民のために対策を講じようとも、あと数カ月先に待ち受けているであろう、真の意味での国難や、それ以後の"敗戦処理"の困難さを鑑みたときに、その"頑張り"は無意味になってしまいかねません。
つまり、今般の「ウィルス騒動を起因とした経済崩壊シナリオ」に対する根本的な対処法は存在しないわけです。なぜなら、「経済をボロボロにしたいと切に願う人がいる」からです。そして、彼らは、我々が思う以上に、影響力を持っています。
もしかしたら、そういった現実と"道"を俯瞰せず、この傷だらけのボロボロの身体で「がんばろう、がんばれる」と盲信し、邁進することに、残念なことではありますが、あまり意味はないのかもしれません。
飛躍したハナシになってしまいますが、かつての"大ニッポン帝国"は、そのマゾヒスティックな暴走を持て囃し、死を美化しました。この過ちは、二度と繰り返すべきではないと考えています。今、この瞬間も、一部の政治家や政商がなにやら不穏に蠢いておりますが、絶対に彼らの私腹を、"我々"の痛みや犠牲で、肥やすようなことはあってはなりません。
ものすごく楽観的な見方かもしれませんが、肩肘張って「やるべきことを、増やす」のではなく、「やれないことは、やらない」とキッパリ諦めちゃった方が、いいのではないでしょうか。これからの数年で、実体経済が麻痺してしまうこと、日常の生活が苦しくなることも不可避なわけですから。
こうなることは、けっこう前から言われていたが
程度の差あれど、ずいぶんと前から、現在の状況・状態に落ち込むことは、正直なところ"織り込み済み事項"であったわけです。かつて、当ブログで『メーカー"側"は潤っている』という記事を、'19年12月12日にポストしました。その当時から、「リセッションは不可避」だとか、「銅価は、'20年どうかなー」といった言説は出ていました。
ただ、経営者一般としては、"こうなる"とわかっていながらも、正直なところ「俺は大丈夫」だとか「あたしんところは、リーマンのときに耐えたから」などと言いながら、なんの対策も講じてこなかったのが、現状ではないでしょうか。実際に、筆者自身も、「まあ、なんとかなるだろ」程度にしか感じていませんでした。今となっては、「あのとき、こうしておけば」と後悔ばかりしています。
これから、なにをやっていこうか
こういったハナシは、取引先の社長様や経営層の方々と頻繁に意見交換しています。これは、業種に限ったことではないですが、まず間違いなく皆様仰るのは、「既成概念を捨てる」ということです。もし、これまでの商圏がシュリンクしていくだけなのであれば、なにか新しいことを始めなければなりません。殊に、我々が従事する"静脈産業"においては、"動脈"の役割を果たす製品流通が機能しない、消費動向が悲観的であるという事実は死活問題に値します。
しかしながら、以前も言及したことですが、一流の原料問屋が、「ゴミを漁って、有価になる金属を取り出す」ような、"下賤な仕事"を喜んで引き受けるかというと、正直、あり得ないハナシだと思います。(筆者は、実際に泥まみれ、油まみれの工業雑品の中から、基板を拾ったりしていますので、周りの人間からどのように見られているのか、どのような立場にあるのかということは、非常に意識的です。)
かつて「安い人件費・ゴミ処理費」に優位性のあった、いわゆる"発展途上国"での輸出加工業は、今や、その事業リスクや継続性に注意喚起がなされています。もちろん、これからもそういった商売は続けられるのでしょうが、これだけ"やりにくい"状況に陥ったとき、資源の排出元が考えるのは、「なんとしかして、国内で安定的な循環ができないのか」という点だと思います。
かつて、"雑線"は有価物ではなかったよね
例えば、雑線ビジネスの今後です。現在は、ある程度、相場が高い水準で安定しています。しかしこれが、仮にトン当たり20万だとか、30万の水準に達したとき、銅の含有率が30%以下の雑線類の処理は、どのように行うべきでしょうか。安い海外に持っていけば、いいのでしょうか。
仮に、低品位の線がマイナス評価になるとします。(ここからは、妄想ですので、その点ご留意ください。)おそらく、供給元としては、歩留りの高い雑線に、解体しづらい低品位の雑線を、"これまで以上に"混ぜ込むと思います。そして、十中八九、低品位の線が、(国内でも海外でも同じことだと思いますが、)加工先で滞留します。これも十中八九、加工側としては、加工のしやすいモノから手をつけると思うので、低品位モノが滞留するスピードは加速します。いずれは、その滞留した山を処理するのでしょうが、結局はやりきれなくなって、放置されます。最終的には、大きな手付かずの山がいくつもできて、「あーどーしよー」となるわけです。(本当に、そのようになるのか、見当もつきませんが。)あとは、誰が、尻拭いする羽目になるのか、そういうことですよね。
雑線だけではないですが、今後、ますます「混じり気が多く、金属品位の低いモノ」は、厄介払いになります。これまでは、"巨大胃袋"が喜んで飲み込んでくれました。素人には、触れられない荷物です。すると、毎度の極論になってしまいますが、当業界は、ますます専門性が高くなり、それを強みに飛躍できる個人、会社は、本当に儲かるようになると思います。一方で、取扱量を増やすことを前提に営業活動していた方々にとって、とても苦しい環境になります。つまり、「本当に儲かっているのか」という観点が重視されるようになるのです。
当然のことですが、動脈あっての静脈です。経済活動(血流)が衰えている状況下で、スクラップ業界(静脈)だけ元気にやっていけるということは、絶対にあり得ません。新陳代謝が低下することで、身体のあらゆる部分で機能不全が起きます。「備えあれば憂いなし」という、太古の昔から語り継がれてきたのであろう、この金言を肝に銘じていきたいです。
にほんブログ村