銅相場に対するロング論調を振り返る
ちらほらと、銅相場に対して"LONG"の論調が増えてきました。彼のスイスのリゾートで行われる某会議で、"見えざる手"としての仕手筋と、"カミ"としての大資本家との間で合意形成が取れたのでしょうか。皆様、「ほら、言ったでしょ」的なポジショントーク全開ですが、これも世の常、散々申し上げたことですが、既定路線をひた走るのみです。
折角なので、「ほら、言ったでしょ」的な私的見解を、過去の拙ブログから拾い上げてみたいと思います。
2017/12/04付
『業界の重鎮が「銅はイイぞ」と申しております』
業界の重鎮として一目を置かれている Robert Friedland 氏(Ivanhoe Mines Ltd. 創業者 兼 会長)が、「銅は、産業の要である。今後、EV自動車が産業構造を大きく変えることは間違いない」といったことを申しています。
記事の中では、「現行の市販車には、18-49ポンドの銅が使われているが、PHV車においては132ポンド、EV車においては183ポンドのそれが必要となる」といった言及をしている。また、それだけでなく、インフラ面でも電気自動車を運用するシステムには銅が必要とされていることも強調している。
2017/12/05付
『業界の重鎮が「銅はイイぞ」と申しております パート2』
鉱山会社は、良質の銅鉱脈を探し当てられないだけでなく、2011年からつづく下げトレンド('11から'16までの5年間に銅相場は、50%下がった)による新陳代謝の悪化がつづき、死に体の様相を呈している。ブルームバーグの予想では、2022年までの4年間、こういった需給バランスの崩れによる、銅価の高騰は不可避であるとのこと。
2019/02/26付
『そこはかとなくみえるものと、非鉄金属関連の気になるニュース 2/26』
我々の業界の中で、「原点にもどる」とは、どういう意味を持つでしょうか。原点に戻るからといって、「原始にもどる」わけではありません。農作業のついでに電線を野焼きするのも乙なんでしょうが、時代には即しません。個人的には、「品質の追求」ではないか、そのように考えております。品質の良いものが売れる。ただただ、単純明快な論理です。これまでのように、物量を集めて船でポーン。「大将、あとは頼んまっせ!」的な属人(国)商売は、メインストリームにない、そういうことだと思います。また数年もすれば、主戦場が新たなフロンティアに移るのでしょうが、今はまだその段階にはありませんね。
『住友鉱山、EVシフトで銅山投資加速 新中計発表』
「かつてない規模の投資を予定している」。14日に開いた記者会見で住友金属鉱山の野崎明社長はこう強調した。4900億円という投資額は現中計の実績予想よりも25%大きい規模だ。
2019/10/17付
『日本は不寛容社会なのか、中国は結局のところ銅を欲しがっているのか』
当ブログにおいてISRIの会合の中で、元米国商務省長官が「トランプ政権は、世界経済に大きな"うねり"を造る。世界はリージョナリズムに向かう」と言及したことを報告しました。ワーディングは違えど、実際にトランプ政権は、いわゆる"業界"の掟を塗り替えているわけです。それは、彼の支持母体からの意向であり、「"業界"を動かす業界」の方々による指示であることは間違いないと思います。突然、トンデモ論者のような嘯き加減になってきましたが、これは純然たる"トゥルース"としての真実なのでしょう。トランプさんが塗りたくる"ファクト"としての真実とは相容れない、崇高な定量的な目標が存在するのだと思います。
2019/10/22付 『アフリカで花開く一帯一路』
面白いなあと感じたのは、財務分析に用いた銅相場の標準が、3.1USD/lbだということです。ドルトン換算で、おおよそ6,835USD/MT。仮に、足元の相場が5,840USD/MTであれば、おおよそ1,000USD/MTは上げにならないと、プロジェクト全体の採算が合わない可能性があるということだと思います。枕が長くなりましたが、現在、中国がこのプロジェクトに意気込んで前のめりになるということは、至極当然、今後の相場はそれ以上に上昇するということではないでしょうか。想定採算ラインを日本国内の電気銅建値に換算(ドル円@105仮定)すると、760JPY/kg。現在の水準から、100ポイントほど上を指すわけです。もちろん、想定なので修正も入るかと思いますが、プロジェクト自体は順調に進行している様子なので、供給面での不安というのは少ないかと思います。大国の一帯一路構想の集大成が、数年ののち、花開くことは間違いないと考えております。
翻って最近のポジショントーク
参考:『Copper Could Surprise In 2020- Nevada Copper Has Huge Upside Potential』
"Those who follow my many pieces on copper know that I expect the price of the red metal to move higher in 2020. While bullish and bearish factors have pulled copper in opposite directions in 2018 and 2019, the red metal seems set to challenge the $3 per pound level, and perhaps even higher levels."
要点を掻い摘んで、個人的な感情を込めると下記の通りだと思います。「'20に銅は上がると思うよ。'18と'19は、(ブル・ベア両極端の様子が絡み合って、どんでもない状況に陥ったけど、)ボラ高く迷走したのかなあ。まあ、だけど今後は、3$/lbを狙っていくかも。それ以上行くかもしれないけどね(ウシシ)。」
標題の中で、"Nevada"というキーワードが出てきますが、これは本当に大きな意味を持っていると思います。具体的な内容の検証は、またの機会としますが、米国の銅精錬産業が同国のハイテク産業をどのようにサポートしていくのか、ひいては、世界の銅スクラップが、どの国を目指して供給されていくのか、そういったところに関係していく、大変、夢とロマンがある話だと考えております。次期米国大統領となる人物は、そういった潮流を踏まえて、"カミガミ"の意向で選出されるのでしょう。